本人確認の未来はデジタル・ウォレットと連動するか?
ニュース原文:
AU10TIX社CEOのインタビュー記事
AU10TIX社は過去にekycソリューションを提供している企業です。
日本でもekycが法的な効力を持つ本人確認手法として確立してから急激に広がり、誰もが一度は体験したことのある本人確認の手法となっています。
AU10TIX社はUberやX, Tiktokのような大手デジタルサービスでも導入されていました。
しかし、その未来はDID/VC、デジタルIDによる本人確認によって危ぶまれています。
XやUberにサービス提供をしているAU10TIX
AU10TIXはekycシステムなどをXやUberのようなプラットフォーマーに対して提供しています。
インシデントなどがありつつも、本人確認領域において飛躍した企業と言えます。
デジタルアイデンティティウォレットの襲来に備える
eIdasの取組みなど、ウォレットプロバイダーが本人確認の事情に到来してくることに対して、彼らのようなプロバイダーがどうするべきか、といった内容がインタビュー記事では書かれています。
結論めいたものはもちろん書かれていませんが、彼が考える生き残るための要素が語られていました。
進化の一部に過ぎないのかは明確ではない
デジタルウォレットは、支払いと資格情報管理の簡便性を提供し、消費者の期待に応えています。
しかし、最終的にアイデンティティ検証の完全な解決策となるのか、それとも進化の一部に過ぎないのかは明確ではない
googleやapple walletは支払いという用途においては革新的なサービスでした。
実際、利用しているスマホにほぼ強制的に入っているアプリが決済機能を持っているので、意識せずに利用を開始しているユーザーが多いかと思います。
彼らが果たして、このDID/VC, eIdasなどの流れに乗じて、本人確認領域まで入ってくるのか。
そして、ウォレットによる本人確認が適切な解決策なのか。
これらはまだ未定であるといっています。
ウォレットを使った本人確認が適切かどうかは置いておいて、間違いなく大きな流れはあるのは事実かなと思うので、彼らのようなプロバイダーは間違いなく準備が必要だろうと思われます。
彼らのHPにもreusable id solutionという事業があるので、準備(というかプロダクトリリースしてる)は進めているのだと思います。
データのセキュリティと信頼性
デジタルウォレットが普及するにつれ、個人データや取引情報が集中管理される傾向が強まります。この状況下で、データのセキュリティと正確な検証プロセスを確立する重要性が増しています。
彼らがこれまで提供してきた本人確認領域における知見はいまだに有効である。
そして、中央集権的な管理を嫌う流れからするとビッグテック的な企業にその領域を丸投げするというのは難しい、といったことなのでしょうか。
恐らく、本人確認というレイヤーにおいてもユーザーに選ばれてしまえばおしまいではあるので、中央集権が良くないという流れがあったとしても、利便性が勝利するような印象は受けます。
一方で、データのセキュリティや正確な検証プロセスを確立する必要があるというのはその通りで、便利なサービスがあったとしても、それを正しく実装する必要性はあります。
そういった意味で、ビッグテックが確立してしまった本人確認手法をインテグレーションするような生き残り方はあるのかもしれません。
伝統的な手法は今後も有用
アイデンティティ検証プロバイダーは、ビッグテックとの競争ではなく、彼らのシステムを補完する形で価値を提供すべきと述べています。伝統的なID検証プロセスや正確なデータキャプチャは、今後も基盤として必要です。
先ほどの、インテグレーションで生き残るという部分にも関連するかもしれませんが、こういった従来の方式が有用という点もあげられるのでしょう。
まさにekycが法律で認められていたので、その手法は残り続ける一方で、ウォレットによる認証も行われるという世界でしょうか。
ekycに関しては偽造リスクなどが懸念されて久しいですが、その当たりの社会的な流れとの兼ね合いも発生します。
ということで、既に海外ではデジタルアイデンティティウォレットの到来が本人確認市場のプレイヤーを脅かす存在になっているのですね。