SNSの利用制限をめぐる各国の取り組み【2026年2月最新】

SNSの年齢規制は「検討」から「執行」の段階へ

2024年後半以降、SNSにおける未成年利用を巡る規制は、各国で急速に具体化してきました。
2026年に入り、多くの国で、年齢制限を検討・導入する段階から、
規制をどのように実装し、どう執行するかが現実的な論点になりつつあります。

特に特徴的なのは、規制の矛先が利用者本人ではなく、プラットフォーム事業者側に向けられている点です。
年齢制限を設けているかどうかではなく、未成年が不適切な機能にアクセスした場合に、
事業者がどのような判断と対策を講じていたのかが問われる構造が、
各国で共通し始めています。

なお、SNSの年齢制限を巡る各国の動きについては2024年12月時に一度整理しています。

SNSの利用制限をめぐる各国の取り組み【2024年12月最新】

ここのところ、SNSにおける年齢制限をめぐる動きが活発化しています。各国が独自の基準で制限を課していることもあり、だいぶややこしい状態になっている印象です。 各国…


本記事では、その後の動きを踏まえ、
規制が実装・執行フェーズに入りつつある現状を最新版として整理します。

各国の規制動向まとめ【2026年2月時点】

オーストラリア

オーストラリアでは、2025年12月10日付でSNS利用に関する年齢制限法(Online Safety Amendment Act 2024)が施行されました。
この法律は、16歳未満のSNS利用を禁止し、その防止責任を事業者側に課す点が特徴です。十分な対策を講じていないと判断された場合、事業者には最大約4,950万豪ドル(約40億円弱)の罰金が科される可能性があります。

施行後、複数のプラットフォームで年齢要件を満たさないと判断されたアカウントの停止や削除が始まっており、規制がすでに執行フェーズに入っていることが確認されています。

対象となり、措置が確認された主なプラットフォーム

X(旧Twitter), Reddit, Twitch, Kick — 同様に対象として年齢制限措置の対象

Facebook — MetaのSNS。未成年アカウント停止対応が進行中

Instagram — Meta運営。33万件以上の未成年アカウント停止が報告

Threads — Metaの別SNSでもアカウント削除

Snapchat — 41万件以上の未成年アカウントがロック/無効化

TikTok — 年齢制限の対象に含まれ、禁止措置が義務付けられている

YouTube — 政府の制限対象リストに含まれる主要プラットフォーム

一方で、実装面の課題も顕在化しています。
自己申告に依存した年齢確認では実効性を確保できず、追加の確認手段を導入すれば、誤判定やアカウント削除を巡る不満が生じやすくなります。さらに、年齢確認のために取得した情報をどこまで、どのように保持すべきかという点も、事業者にとって新たなリスクとなっています。

先日私が書いた記事でも言及しているので、よかったら読んでみてください。

オンライン年齢確認が制度問題になった理由

ニュース原文:https://www.biometricupdate.com/202601/immigration-age-checks-and-deepfakes-push-biometrics-into-the-sp […]

現在の論点は、単に年齢制限を掲げているかどうかではありません。
未成年のアクセスをどのような仕組みで防いでいるのか、そして「16歳未満である可能性が高い」という推定結果を、どの時点で、どの判断として扱っているのか。その判断プロセスを事業者が説明できるかどうかが、実装段階の最大の争点になっています。

参照元:https://www.reuters.com/world/asia-pacific/australia-europe-countries-move-curb-childrens-social-media-access-2025-12-09

フランス

フランスでは、15歳未満の子どもがSNSを利用する際に、保護者の同意を必須とする法律が制定されています。
制度上は未成年保護を明確に打ち出していますが、同意の取得方法や確認手段については詳細が定められておらず、実装面での曖昧さが残っています。

2025年以降に焦点となっているのは、保護者同意をどのように確認し、どこまでを事業者の責任範囲とするのかという点です。
形式的な同意取得だけでは実効性を担保できず、追加の確認手段を導入すれば、個人情報の取扱いや運用負荷が問題になります。

現時点では、厳格な罰則執行よりも、制度の実効性をどう高めるかが議論の中心であり、EU全体の規制動向との整合性も含めて検討が続いています。

参照元:https://www.reuters.com/sustainability/society-equity/frances-national-assembly-debates-banning-under-15s-social-media-2026-01-26/

アメリカ合衆国

アメリカでは連邦で統一的なSNS年齢制限法はまだ成立していませんが、複数の州が独自に規制や年齢確認義務を強化しています。

例えば、バージニア州では、2026年1月1日からSNS利用時間や年齢確認義務を含む規制法が発効しています。他にもネブラスカ州では18歳未満は親の同意と年齢確認が必要とする法律が成立しており、各州で対応が分かれています。
フロリダ州では14歳未満のSNSアカウント開設を禁止する法律が制定されましたが、表現の自由を巡る憲法上の問題から、訴訟が相次いでいます。

このような州ごとに異なる規制体系は事業者側の実装負荷を高めているという指摘もあります。
地域によって年齢基準や確認方法が異なるため、全国一律の対応が難しく、制度としての一貫性も欠きやすくなっています。

結果として、規制の是非だけでなく、分断された制度環境の中で事業者がどこまで責任を負えるのかが、実務上の課題として浮かび上がっています。

参照元:https://www.axios.com/local/indianapolis/2026/01/27/indiana-social-media-ban-kids

ノルウェー

ノルウェーでも、SNS規制の強化に関する議論が進んでいます。


報道によれば、未成年のSNS利用に対して年齢制限を引き上げることなどを検討しており、
オーストラリア型の動きを注視しながら制度設計を模索しているとされています。
制度として正式に成立した規制はまだありませんが、
福祉・教育政策と連携した形で安全確保の方法を議論する方向が見えています。

参照元:https://www.reuters.com/technology/what-countries-do-regulate-childrens-social-media-access-2024-11-28/

日本

日本では、SNSの利用年齢を一律に制限する法律は整備されていません。
一方で、青少年インターネット環境整備法や、総務省のプラットフォームを巡る検討会などを通じて、未成年保護や事業者の安全配慮の在り方が継続的に議論されてきました。

近年は、年齢制限を設けているかどうかそのものよりも、未成年による不適切利用が起きた際に、事業者がどのような判断と対応を行っていたのかを説明できるかが論点として浮かび上がっています。

こども家庭庁や総務省、デジタル庁を中心に、SNS事業者への要請やガイドライン整備の検討も進められていますが、現時点では、明確な法規制に踏み込むのか、
事業者による自主的な対応を軸に進めるのかは定まっていません。

ただし、「自己申告だけに依存した年齢確認では十分とは言えない」という認識は関係者の間で共有されつつあります。

日本の特徴は、海外事例を参照しながらも、一気に強制的な規制に踏み込むのではなく、
段階的に制度設計を整理しようとしている点にあります。
今後は、年齢確認の手法そのものよりも、事業者がどのような判断プロセスで未成年の利用を制御しているのか、その説明可能性がより重要な論点になっていくと考えられます。

参照元:https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_02000413.html

まとめ

2026年2月時点で、SNSの年齢制限を巡る規制は国・地域によってばらつきがありますが、共通するトレンドが見えてきています
単純に年齢制限を設けるだけでなく、年齢確認の実装方法や、その判断プロセスを説明できるかが、各国の議論の中心に浮かび上がっているのです。

特にオーストラリアやフランスのような強制的な禁止法から、英国やEUのような意見公募・検討プロセス、アメリカの州ごとの差異、日本の方針まで、「制度としてどう成立させるか」が共通の課題となっています。

こうした動きは、事業者側の説明責任や年齢確認技術への要請が強まる一方で、実装上の課題やプラットフォームの負担も突き付けています。これらは今後も2026年を通じて規制設計の重要なポイントになるでしょう。