【新制度】ふるさと住民登録制度を徹底解説

2025年6月、政府より「ふるさと住民登録制度」を創設予定である旨が表明されました。
この制度は実際に居住していない地域でも住民として認められる新しい考え方であり、10年で1,000万人、将来的には1億人規模の登録を目指すとしています。

https://www.soumu.go.jp/main_content/001010766.pdf

人口減少や地域の担い手不足が進む中、移住や定住に至らずとも地域と関わりを持ちたいという市民の声は年々高まっており、本制度はこうした「関係人口」創出に向けた取り組みの一環と位置づけられています。

この記事では

  • ふるさと住民登録制度の概要
  • 今後考えられる展開とその際に重要な点

を解説していきます。

制度の概要:ふるさと住民登録とは何か

「ふるさと住民登録制度」は以下のような特徴を持つ制度です。

  • 実際の居住とは異なる自治体に、本人の意思で“ふるさと住民”として登録できる
  • 法的な住民票とは異なり、行政サービスを直接受けられるものではない
  • 自治体は登録者に対し、地域情報やイベント案内などを発信可能
  • 登録はデジタルプラットフォームを介して行われることが想定されている
https://www.soumu.go.jp/main_content/001010766.pdf

この制度は、二地域居住や多拠点生活を支える制度というよりは、「地域との心理的・関係的つながり」を可視化し、継続的な関係構築に役立てることを目的としています。

なお、現段階では登録方法や認証手段、登録後の運用体制については明らかにされておらず、今後の具体的な制度設計に委ねられています。

ふるさと納税との比較と位置づけ

居住していない地域とのつながりをもつための制度として、ふるさと納税がよく知られています。両者には次のような違いがあります。

観点ふるさと納税ふるさと住民登録制度
主体金銭的支援(寄付)関係構築(登録)
効果税制優遇、返礼品情報受信、関与の機会
行政との接点一時的・単発的継続的・双方向的
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html

ふるさと納税が「お金を通じた支援」であるのに対し、ふるさと住民登録は「人とのつながりを起点とした関係性の構築」が主眼となっています。今後は、ふるさと納税と組み合わせて、登録住民に限定した寄付メニューや参加型イベントの開催など、両制度の補完的な活用も模索されていくと考えられています。

自治体・事業者にとっての制度の意味

制度開始を前に、すでに一部の自治体や地域事業者の間では関係人口を可視化する施策の検討が始まっています。

▼参考

「関係人口登録システム」石川県が来年度構築 国が検討の「ふるさと住民登録制度」先駆け - 産経ニュース

特定の地域に継続的に関わる「関係人口」を把握し関係の持続化につなげようと、石川県は「関係人口登録システム」を構築する。来年度の当初予算案に2千万円を計上、来年…

制度がもたらす主な可能性は以下のとおりです。

  • 継続的な関係人口の蓄積と可視化
    登録情報を通じて、都市部在住者との接点を「データ」として保持できるようになり、継続的な関与や育成が可能になります。
  • 登録者向けのサービス設計や情報発信
    登録者に向けてイベントや地域活動への参加案内を送付したり、限定コンテンツを配信することで、地域との双方向の関係を育むことができます。
  • 民間サービスとの連携
    地域通貨や観光・移住支援アプリなど、既存の地域系サービスとの連携も視野に入りつつあります。デジタル証明書やポイント制度と組み合わせた新たなサービスモデルの可能性も議論されています。

こうした取り組みを進める上では、自治体単独ではなく、すでに地域サービスを展開している事業者との連携が不可欠です。

今後の制度設計と課題

ふるさと住民登録制度は現時点で制度の骨格が示された段階であり、今後以下のような点が順次検討される見込みです。

  • 登録方法・基盤システムの整備
     オンラインでの登録が基本と見られますが、本人確認や登録データの管理方法は未定です。
  • 個人情報の取り扱いと利用範囲
     「ふるさと住民」として得られる情報やサービスが、個人情報の適切な管理のもと提供される必要があります。
  • 制度設計の運用主体と支援体制
     国主導での統一プラットフォーム設計か、自治体ごとの柔軟な運用を前提とした枠組みかについては議論が続いています。

これらの論点は、制度の利用主体となる自治体や事業者にとっても関心が高く、制度設計と並行して現場レベルでの準備が求められます。

★動向例

【速報】地方創生の「基本構想」を決定「ふるさと住民登録制度」創設で関係人口1000万人へ 石破首相「何よりも実行を」|FNNプライムオンライン

政府は13日、新しい地方経済・生活環境創生本部の会議で、石破首相の看板政策「地方創生」の「基本構想」をとりまとめた。居住地以外の地域に継続的に関わる「関係人口」…

さいごに

ふるさと住民登録制度は、地域と都市をつなぐ新しい仕組みとして期待されています。制度の詳細は今後詰められていく段階ですが、関係者にとっては、今の段階からどのように制度と向き合い、活用するかの準備を進めることが重要です。

制度の趣旨や仕組みに合わせた情報設計・システム整備、さらには登録者とのコミュニケーション体制の構築などは、早期に取り組むことで制度を効果的に活かす土台となるでしょう。

弊社のproovyについて

弊社は既存のID基盤を拡張し、外部サービスや他事業者・機関と接続するためのソリューションを提供しています。
ふるさと住民登録制度においても、これまで行われてきた「住民データの管理」を拡張し「関係人口を呼び込み、継続して関与してもらうための基盤」をご提供しています。

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