【2025年5月から航空機搭乗時に本格適用】アメリカで運用される「Real ID」制度とは

Real IDとは
Real IDとは、アメリカで運営される身分証に対するセキュリティ基準、その制度の総称です。
各身分証における、
- 発行や更新時の身元確認手続きの厳格さ
- ICチップや機械読取り機能などの技術的仕様
などが連邦政府の定める基準に適合しているかを認定する仕組みになっています。
Real ID制度ができた背景
この制度は2001/9/11に発生した同時多発テロが大きな契機となり制定されました。
州ごとにばらばらだった各身分証の基準を一定水準以上に統一することを目的に、連邦議会によって制定された「Real ID Act」(2005年成立)を根拠としています。
単にIDカードのセキュリティ強化というだけでなく、連邦施設(軍事基地や連邦政府機関など)に立ち入る際、あるいは国内線航空機に搭乗する際に求められる身分証明書の要件を標準化・厳格化するものでもあるようです。
2025年5月7日からの新制度
2025年5月7日より、アメリカ国内での航空機搭乗にはReal IDに準拠した身分証明書の提示が必須となりました。

Real IDに準拠していない身分証明書のみでは搭乗ができなくなるため、該当の身分証を使っている人は特に注意が必要ですね。
Real IDに準拠していない身分証明証も一定流通しているようで、例えば以下のようなものが挙げられます。
- 既に発行済みの古い免許証やIDカードを有効期限ぎりぎりまで使っている場合
- 州による発行方針の違い
- パスポートや軍の身分証、一部の州で発行されているEnhanced Driver's License(EDL)などを利用している人
なお、日本の外務省のページを見るとReal IDに準拠していなくても、以下書類は新制度のもとでも引き続き利用可能なようです。
REAL IDに準拠していない場合でも、以下の身分証明書は認められます:
・日本のパスポート/米国のパスポート
・DHSトラステッドトラベラーカード(Global Entry、NEXUS、SENTRI、FASTなど)
・米国国防総省のID(扶養家族に発行されたIDも含む)
・永住者カード など
mDLに関して
アメリカでは運転免許証をモバイル化(mDL)する動きも進んでいるのですが、mDLに関してもアナウンスがありました。

Real IDの規格に準拠していないmDLもあるらしく、mDLだけではなく物理カードも携帯してほしいとアナウンスが出ていました。
Not all Federal agencies are accepting mDLs. Before attempting to use an mDL, individuals should contact the agency they intend to visit to ask whether the agency accepts mDLs. To reduce risk of potential disruptions, TSA strongly encourages all mDL holders to carry their physical REAL ID cards in addition to their mDLs.
■和訳
すべての連邦機関が mDL を受け入れているわけではありません。mDL を使用する前に、訪問予定の機関に連絡して、その機関が mDL を受け入れているかどうかを確認してください。潜在的な混乱のリスクを減らすために、TSA はすべての mDL 保持者に、mDL に加えて物理的な REAL ID カードを携帯することを強く推奨しています。
まとめ
これまではReal IDの強制適用に向けた過渡期的な期間だったものの、本格切り替えが始まるようですね。
偽装身分証の問題は昨今特にリスクが高まっているため、同様の取り組みは各国で広まっていくかもしれません。
なお、内容には万全を期しておりますが、万が一アメリカ国内でReal IDの利用予定がある場合にはTSAのホームページなどで最新の情報をご確認ください。
■TSA ホームページ
https://www.tsa.gov/travel/security-screening/identification