イギリスでもmDLがやってきます

ニュース原文:

Mobile driver’s licenses coming to the UK this year | Biometric Update

The government plans to issue mDLs this year with legal backing to be accepted as proof of identity and age for voting, flight boarding and alcohol purchases.

イギリスでもついにmDLがやってくるようです。

提供形態は公式アプリ

どうやらgoogle walletやapple walletではなく、国が出すアプリを利用してmDLが導入されるようです。

米国ではモバイル運転免許証(mDL)と呼ばれる免許証のデジタル版は、Gov.ukのアプリを通じて配信される予定だと『タイムズ』紙は報じている。 グーグルやアップルのウォレットでは利用できない見込みだ。

mDLの導入は大手プラットフォーマーも実績があるのですが、やはりイギリスは独自アプリの路線です。

日本ではマイナンバーmDLはApple Walletを利用することになるので、この辺りは各国の考え方の違いですね。

Apple、日本でのAppleウォレットの身分証明書機能の展開を発表、米国外で初 - Apple (日本)

Appleは、日本のデジタル庁と協力し、来春の後半から日本に住むみなさんがAppleウォレットでマイナンバーカードを利用できるよう準備を進めています。

民業圧迫という議論も

一方で、このイギリスのmDLが民間のユースケースに対応していくとなると、それは民業圧迫なのではないかという議論もされているようです。

これは日本でもマイナンバーカード認証アプリが登場した際に議論されたようなことと同じですね。

イギリスには、DIATF (Digital Identity and Attributes Trust Framework) という、英国政府主導のデジタルIDの信頼性と相互運用性を確保するための基準と認証スキームが存在します。

これは、商業的なユースケース(年齢確認、オンラインバンキングなど)幅広いシナリオで、認定されたデジタルIDが利用できるようにすることを目的としています。

このフレームワークでは条件を満たした事業者に認定を渡すようなこともしています。

一方で、mDLの利用範囲が商業的なユースケースを侵食しうることから、認定事業者からすると、彼らのビジネスを国家が妨げに来たように見えているのです。

記事内の、

ダビデはゴリアテを倒せない

という言葉は、この記事において比喩的に使われており、弱小な存在(民間のデジタルIDプロバイダー)が巨大な存在(政府のOne Loginシステム)に対抗して成功することは難しいという状況を示しています。

データソースが政府にあるようなものは政府発行のmDLに集約していくのかもしれませんね。


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