CAICA DIGITAL、DID/VC技術領域での受注を決算で示す
ニュース原文:https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n202512230695
株式会社CAICA DIGITALが2025年10月期連結決算を発表し、ITサービス事業における新技術分野での受注状況の一端が明らかになりました。2025年12月23日付で開示された決算資料によると、フィンテック関連領域で、DID/VC技術などの新たな受注を獲得したようです。
決算全文では売上高や利益の動向が中心に説明されていますが、弊社としましてはDID(分散型ID)やVC(Verifiable Credentials)といった最新のデジタルアイデンティティ技術の案件をフィンテック関連で受注していると明示された点が注目されます。これは、企業がWeb3やデジタルIDを活用したソリューション開発に取り組む動きの一端を示すものです。
同社は2025年度に入ってから、AI技術やDXのニーズに対応する開発力強化を進めており、DID/VCを含む新技術の受注がITサービス事業の成長分野と位置づけられています。
弊社もDID/VCの事業への落とし込みは得意な領域なので、競合ではありますが業界が盛り上がることは嬉しく思います。
Web3型IoT統合ソリューションに向けたDID PoCも発表
ニュース原文:https://www.caica.jp/wp-content/uploads/2025/09/20250912_4_pr.pdf
これに関連して、CAICA DIGITALは2025年9月12日付でWeb3型IoT統合ソリューション構想に向けた戦略的PoC(概念実証)の開始を発表しました。
この取り組みは、完全子会社化した株式会社ネクスと共同で進めるもので、M2M(Machine to Machine)/MEC(Multi-access Edge Computing)基盤の構築を目指したPoCです。PoCでは、段階的にM2Mシステムの実装から、最終的にDIDを用いた認証連携をブロックチェーン上で実施するフェーズまで検証する計画が示されていました。
PoCの第3フェーズ(2026年1〜2月予定)では、車両や各種デバイスに対してDIDを発行し、ブロックチェーン連携による認証・データ統合を試みて、IoTデバイスとWeb3技術を融合した分散型IDの実装可能性の検証が進められています。
背景と今後の展望
CAICA DIGITALはこれまでフィンテック領域を中心にシステム開発を展開してきましたが、DID/VCの案件受注やPoCの進展は、同社の技術的な対応力の幅を広げる動きを示しています。フィンテックやDXが進む市場環境の中で、デジタルアイデンティティの仕組みが実装案件として認知されてきたことは、中長期的な技術分野の拡大の指標とも捉えられるでしょう。
説明資料やリリースでは、引き続きAIやWeb3技術の活用を強化する姿勢が示されており、DID/VC技術の受注は、同社の次世代ソリューション領域での重要な位置づけになる可能性があります。
まとめ
― 国内SI・IT企業においてもDID/VCが「PoCから受注フェーズ」に入りつつある
CAICA DIGITALの決算資料において、DID/VC技術を含む案件の受注が明示的に言及されたことは、国内市場における分散型ID・検証可能な資格情報の位置づけが、研究・概念検証の段階から、実ビジネスとして評価されるフェーズに入りつつあることを示しています。
あわせて公表されているWeb3型IoT統合ソリューションのPoCでは、
- デバイス単位でのDID付与
- ブロックチェーンを用いた認証・連携
といった構想が段階的に検証されており、DIDが人だけでなくモノやシステムにも拡張されていく流れが具体的な計画として示されています。
弊社の立ち位置から見た意義
弊社はこれまで、弊社はこれまで、DID/VCを単なる規格解説や思想論としてではなく、企業の業務や制度にどう組み込み、実際に使える形にするかという観点から、事業設計・業務設計・実装支援まで一体で支援してきました。その立場から見ると、今回のように上場企業の決算資料にDID/VCが“受注案件”として登場すること自体が、市場成熟の一つのシグナルだと捉えています。
これまでDID/VCは、「将来性はあるが、いつ事業になるのか分かりにくい技術」として語られる場面も少なくありませんでした。しかし、実際の案件として受注が発生し、売上に紐づく形で開示され始めたという事実は、DID/VCが“検討フェーズ”から“業務に組み込まれるフェーズ”へ移行しつつあることを示しています。
今後は、単に技術を導入できるかどうかではなく、既存の業務フローや制度、リスク管理の枠組みの中で、DID/VCをどう位置付け、どう運用していくかが問われる段階に入っていくと考えています。弊社としても、引き続き「実装できること」そのものではなく、「事業として回る形で実装できているか」という視点から、企業のDID/VC活用を支援していきます。
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