【ミルシートの偽造、なりすまし防止へ】サイバートラストのeシールを採用
ニュース原文:
大阪製鐵株式会社がミルシートのデジタル化にeシールを採用
ミルシートとは?
(注:誤った情報を発信しないよう細心の注意を払いますが、ミルシートについて筆者は初心者であり誤った情報を記載している可能性がございます。ご容赦ください。DID/VCの活用シーンとして1つ考えうると思い取り上げさせていただいております)
工場や製作所(mill)が発行する書(sheet)という意味からミルシートと呼ばれ、主に日本で呼ばれる和製英語である。通常、鋼材検査証明書(inspection certificate)という名称で発行され、発注者の要求に応じ鋼材とともに交付される。
ミルシートには鋼材の機械的性質や化学成分などが記載されており、流通においても商社や鋼材業者から最終的な発注者に提出されます。ミルシートは鋼材の品質を担保するドキュメントであるため、改ざんの防止や厳格な管理が求められる一方で、紙の運用による機会損失も大きいということでしょうか。
製造業では当たり前なのかもしれませんが、ミルシートは1900年代のデジタル化なんという言葉がない頃から標準化されたフォーマットで運用されており、部材の品質担保に利用されてきたようです。
eシールが採用された背景
大阪製鐵ではこれまで月間数千枚以上のミルシートを紙で発行しており、このたび、これらをデジタル化するシステムに、サイバートラストの「iTrust eシール用証明書」と「iTrust リモート署名サービス」をAPI連携し、 PDF形式で生成するミルシートにeシールを付与可能にしました。これにより、ミルシートの発行元の証明と真正性確保を可能にしています。eシールの活用で、ミルシートの偽造やなりすまし製品の流通抑止を実現します。
プレスリリース原文にも上記のような記載がございます。eシールは発行元の証明を行うことができるという特性上、ミルシートのようなすでに標準化が行われている紙の書類の電子化という文脈では利用が進んでいくのかもしれません。
ミルシート電子化サービスについて
さらに調べていくと、ミルシートの電子化については各社がシステム(ミルシート電子化プラットフォーム)を開発しているようです。三菱商事のMill-Boxに関しては2023年時点で200社以上が導入しているとのこと。以外にも商社というサプライチェーンの上流のレイヤーにいるプライヤーからこのようなシステムが開かれていくのかもしれませんね。
もっとよく調べると、eシール付きミルシート発行サービスなるものまで登場しています。
電子化サービスと相互運用性、標準化について
では、ミルシートの電子化が完全に進んだからといって、これまで紙で行ってきたように全ての事業者がスムーズに今まで通り取引ができるのかというと現実は違うようです。
実際に2024年度のデジタル庁の資料でも鉄鋼業界におけるデータスペースの検討がされており、その中にはミルシートの電子化が課題の一つとして挙げられています。さらにデジタル庁は独自にミルシートの電子化の実証実験を行なっており、その実験項目の一つには三菱商事の提供するMill-Boxとの連携が可能か?という項目も存在します。
これは、各社がそれぞれシステムを導入していても相互運用できるよ、ということを検証したいということではないかと推察しています。確かにMill-Boxが市場のシェアや知名度は高いのかもしれませんが、その1つのシステムの経済圏の中に全てのサプライチェーンのアクターが存在するとは限りません。
こういった既に書類などでフォーマットが決まっていてかつ相互運用性のある領域に対してDXをしていくようなユースケースにおいて、システムに依存した仕様ではなく標準的な仕様を採用するとなると、VC(Verifiable Credentials)が頭に思い浮かびます。
このようなユースケースにおいても利用が検討されていくかもしれませんね。
なおアメリカのあるプロジェクトではDID/VCを用いてミルシートを含む書類を電子化する実証実験が行われているようです、、、
★特別なお知らせ★
デジタルアイデンティティの最新トレンドを毎週お届け!
業界の最前線をまとめた「DID/VC Weeklyレポート」を毎週無料で配信中です。こちらから簡単に登録できますので、ぜひ情報収集や新規事業のタネ探しにご活用ください。
