総務省ワーキンググループによる「デジタル技術を活用した住民基本台帳等のあり方」に関する資料が出ています
https://www.soumu.go.jp/main_content/001018492.pdf
総務省は「持続可能な地方行財政のあり方に関する研究会」を開催しており、以下三つのワーキンググループがぶら下がっています。
- 大都市における行政課題への対応に関するワーキンググループ
- 自治体におけるAIの利用に関するワーキンググループ
- デジタル技術を活用した効率的・効果的な住民基本台帳事務等のあり方に関するワーキンググループ
そのうち「デジタル技術を活用した効率的・効果的な住民基本台帳事務等のあり方に関するワーキンググループ」の直近開催分の資料が公開されていました。VCも登場し興味深い内容でしたので、記事にまとめたいと思います。
「住民票の写しの交付」における各ステークホルダーの負担軽減方策について
第一回のWGでは「住民票の写しの交付」に関する議論が行われたようです。
資料によると令和5年の住民票の写しの交付件数は5,553万件であり、納税証明書などの他書類と比べても件数が多いです。
住民票の写しを発行するルートとして以下二種類が存在します。
- 住民が市町村に直接交付請求するパターン
- 行政機関や法人等が市町村に代理で交付請求するパターン

交付件数全体で見ると住民本人による交付が6割を超えており、さらにその請求目的も「行政機関に提出するもの」「民間事業者に提出するもの」に分けられます。
行政機関に提出するパターンにおいて、各提出シーンで住民票から確認されている情報が整理されていました。

民間企業のパターンも整理されています。
本人の情報だけではなく、世帯員の情報を確認する手段として住民票が確認されているようです。

このように見ると住民票の写しでしか対応できないプロセスがまだ残っており、そのようなケースをどのように電子化・効率化していくのか議論することが重要となります。
ここに関しては参加する有識者からもたくさんの意見が寄せられたようです。(詳しくご覧になりたい方は資料を参照ください)
VCについて
さて、そんな議論が行われた中で電子化の手段としてVCを提案された方がいらっしゃったようです。
(WG終了後に構成員から頂いたご意見)
電子的にコピーされることを今ある方法でクリアする方法としては、例えば、マイナンバーカードのスマートフォン搭載で利用される「mdoc」やワクチン接種証明書で使われた「VC(Verifiable Credential)」等が考えられるのではないか。要求される原本性や想定される脅威も併せて考える必要があると考えられる。
補足資料として、VCの基礎的な内容・デジタル庁の有識者会議で議論されている内容等が複数ページに渡り紹介されていました。
VCに関する説明は以下のような提言で結ばれています。
- 今後、VC等の技術やその利用が進展することが見込まれることを踏まえ、本人の情報を相手方に電子的に送信する最新技術に関して、住民票の写しの情報についても活用可能か、引き続き検討を行うことが必要ではないか。
- その際には、なりすましや不要な情報が相手方に渡るリスクを最小化できるかといった観点のほか、費用対効果や民間におけるユースケースに合致するかという点を踏まえて、検討を行うべきではないか。
すごく目新しい内容というわけではありませんが、マイナinスマホがローンチされた中で今後VCの活用が模索されるシーンは間違いなく増えていくと思います。
そのうちガイドラインが出てくるかもしれませんが、弊社もeシールやリモート署名など、より安全で信頼できるシステムを提供できるよう取り組みを続けてまいります。