Yotiが顔年齢推定エンジンの精度向上を達成
弊社のメディアや記事に度々登場するイギリスのYoti社。
彼らはSSI思想に基づくデジタルウォレット、生体認証エンジンなどを開発する高い技術力を誇る新興企業であり、弊社も僭越ながらベンチマークさせていただいています。
元々Yotiは「顔情報データだけで年齢を推定するエンジン」を提供していました。このサービスを使うと、例えば成人年齢に達したユーザーしかアクセスできないサイトをユーザーが閲覧する際にリアルタイムで撮影を行いチェックを行います。

この時にエンジンの誤差率を加味したうえで、以下のような挙動の振り分けを行います。
・「99.9%成人である」と判断されればそのままサイト閲覧を許可
・成人ではない可能性が一定あると判断されれば公的証明書などによるKYCを行う
この方式をとることで、
・60歳の方が「成人確認のために身分証のアップロードを行う」という事業者もユーザーも不利益を被る無駄なプロセス
・「誕生日を自己申告するタイプ」の詐称しか起こり得ない年齢確認プロセス
から卒業することができます。
精度向上について
さて、そんなYotiの年齢推定エンジンの精度が向上したようです。
The mean error rate (MEA) for Yoti’s technology estimating the ages of people between 13 and 17 years old is now 1.1 years. This is particularly important for the 15- and 16-year-old age limits for social media. For 18-to-24 year olds, Yoti’s MAE is now 2.1 years.
https://www.biometricupdate.com/202507/yoti-shows-further-facial-age-estimation-accuracy-gains-ahead-of-osa-deadline
■和訳
13歳から17歳までの年齢を推定するYotiの技術の平均誤差率(MEA)は、現在1.1歳である。これは、ソーシャルメディアの15歳と16歳の年齢制限にとって特に重要である。18歳から24歳の場合、YotiのMAEは現在2.1歳である。
前述の通り、誤差率を加味して「対象年齢に達していない可能性が一定ある」となった場合にユーザーは旧来型の面倒なKYCプロセスに回されます。
そのためYotiの年齢推定エンジンがもたらすユーザー利便性は「いかに誤差率を下げるか」にかかっていると言っても過言ではありません。
イギリスにおけるオンライン年齢確認の機会拡大
イギリスでは法律の改正などを背景にオンライン年齢確認を取り巻く環境が変化しているようです。
以下Geminiより。
イギリスで進むオンライン年齢確認の拡大:最新動向まとめ
イギリスでは、子どもたちをオンライン上の有害なコンテンツから守るため、年齢確認を導入する動きが急速に拡大しています。この流れの中心にあるのが「オンライン安全法(Online Safety Act)」です。
流れのポイント
- 目的は「子どもの保護」 最大の目的は、ポルノグラフィや自傷行為を助長するコンテンツなど、子どもに有害な情報へのアクセスを防ぐことです。以前からポルノサイトを対象とした年齢確認は議論されていましたが、「オンライン安全法」により、その対象が大幅に広がりました。
- 対象プラットフォームの拡大 当初のポルノサイトだけでなく、ソーシャルメディア(SNS)、検索エンジン、メッセージアプリ、ゲームなど、子どもがアクセスする可能性のある多くのオンラインサービスが対象となります。
- 「非常に効果的な」年齢確認の義務化 規制当局である**Ofcom(英国情報通信庁)**は、各プラットフォームに対し、単なる自己申告(「私は18歳以上です」というチェックボックス)ではない、「非常に効果的な(highly effective)」年齢確認措置を求めています。具体的な手法としては、以下のようなものが挙げられています。
- 顔年齢推定技術:カメラで撮影した顔からAIが年齢を推定する。
- 身分証明書の活用:パスポートや運転免許証の情報を利用する。
- デジタルID:スマートフォンアプリなどに保存されたデジタル身分証明書と連携する。
- クレジットカード情報:18歳以上であることが条件のクレジットカード情報を確認する。
- 大手サービスの対応と法規制の本格化 この法律の施行(特に2025年7月からの本格適用)に向け、Meta社(Instagramなど)やX(旧Twitter)、Discord、Blueskyといった大手プラットフォームが、イギリス国内のユーザーを対象に年齢確認機能のテストや導入をすでに進めています。
Yotiからすると自社ビジネスを拡大する機会が到来しているわけですが、そのタイミングを逃さずにプロダクトアップデートを行うあたりがさすがですね。
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