AI時代のデジタルトラストとVCについて、JIPDECの最新コラムが示す視点

ニュース原文:https://www.jipdec.or.jp/library/itreport/2025itreport_winter11.html

AI時代の信頼とVC

― JIPDECが「デジタルトラストと第三者評価」の在り方を論じる

一般財団法人 日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が公開した「IT-Report 2025 Winter」のコラムにおいて、AIの発展とデジタルトラスト、そして Verifiable Credentials(VC) の関係についての考察が示されています。本記事では、その内容を踏まえ、「AI × 信頼 × デジタルID」を巡る現在の論点を紹介します。

「デジタルトラスト」の再定義とVCの登場

従来、オンラインサービスの信頼性は、電子署名やeシールといった仕組みによって支えられてきましたが、近年では VCデジタルアイデンティティウォレット といった新たな技術の登場により、信頼インフラそのものが変化し始めていると指摘されています。

VCにより、個人が自身の属性情報をデジタルで管理できるようになり、従来の紙の証明書やPDFファイルに依存した方法から、より安全で利便性の高いデジタル証明へと移行する可能性が示されています。

AI時代で高まるデジタルトラストの重要性

コラムでは、AIの発展がデジタルトラストへの要求を一層高めている点にも触れられています。特に2025年は「AIエージェント元年」とも表現されるほど、AI関連技術の進展と生成AIの活用が広がっているとされています。

人とAIが多くのオンラインタスクを自動で処理するようになるにつれ、オンライン上での信頼をどのように担保するかが、より重要な課題として浮上してきます。一方で、AIの活用は利便性を高める反面、意図しない操作や機密情報の漏えいといったリスクも伴います。そのため、事業者がAIを導入・活用する際には、AIガバナンス(統制・管理)の検討が不可欠であり、その手段の一つとして 第三者評価の活用 が提案されています。

第三者評価というものが解決策となりうるかは置いておいて、AIによってデジタルトラストに問題を抱えるのはこれまで辿ってきた軌跡にも近いように感じました。

例えば、APIというものがないシステムはシステム連携させるために半ば強制的(違法?)にスクレイピングすることでデータを取得したり、連動させることをしていました。ユーザー認証を含むサービスの場合はほとんどなりすまし状態ということですね。

これに似たようなことはAIが発展しつつある現実の世界でも起こっているように思えます。例えば、chatGPTがリリースしたAtlasというブラウザではAIが勝手に画面を操作してくれる機能が搭載されています。cookieの情報を使ってなりすまし状態のまま画面で業務が進んでいく工程は、利便性といった点では衝撃的でもあり、AIが業務を勝手に進めている恐怖感も覚えます。

確実に存在する上記の課題に対してのアプローチは現状だと明確な回答が存在しません。当然OIDFのような組織は議論をしているところではありますが。

コラムでは、JIPDECが実施している第三者評価制度である「JIPDECトラステッド・サービス登録(JTS登録)」 についても紹介されています。VCについても 2025年度から登録メニュー化を検討している ことが示されており、VCをこの領域で活用されるオプションは十分にあります。

まとめ

JIPDECの本コラムは、AIの急速な発展の中で、単に技術を導入・活用するだけでは不十分であり、デジタルトラストとそれを支える基盤の整備が不可欠であるという視点を提示しています。

特に VCやデジタルIDウォレット は、オンラインでの本人確認や属性証明を、より安全かつ効率的に実現する手段として位置づけられており、今後の制度設計やサービス開発においても注目されるテーマです。


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