英国デジタルアイデンティティウォレット「BritCard Wallet」に関する提言
元ニュース:
オンラインポルノ規制と ID 政策が加速する英国
EUに加盟する各国がeidas2.0に基づき、デジタルアイデンティティウォレットの開発を行っていることはよく知られており、当メディアでもいくつか記事を出しています。
EUからは脱退している英国ですが、大手プラットフォーマーを含む事業者がEUDIウォレットとの接続を求められていることもあり、VC(Verifiable Credentials)を用いたウォレットアプリが検討されているようです。政府が提供する One Login というID基盤はすでに様々な公共サービスの玄関口になっています。
https://www.gov.uk/using-your-gov-uk-one-login/services
先進的にID基盤の導入を進めてきた英国ですが、Online Safety Act という法令も出されており、成人向けのサービスプロバイダーに対して年齢確認を求める動きも出ています。
どうやらofcomという団体が成人向けサービスに対して働きかけをしているようで、かつ英国ではかなり力を持っているようです。年齢確認の運用ができていないサイトに関しては運用停止を求めるなど、経営的にダメージを与えられてしまうので、各サービスは従う必要があるようです。
https://www.ofcom.org.uk/online-safety/protecting-children/age-checks-to-protect-children-online
すでにいくつかのサービスでは規制回避のための取り組みが行われており、Yotiのようなスタートアップ企業が伸びているのものこのような国家的な背景もあるのでしょう。
BritCard Wallet構想
元々のニュースでは不法就労を防ぐという文脈で全ての成人に対してBritCard Walletを配布するということが記載されています。煩雑だった書類を用いた就労手続きを簡略化し、確実に不法就労を防止することができるといった内容です。
One LoginのようなサービスもBritCard Walletとしてリブランディングするらしく、より耳障りのいい名前になっている印象も受けます。BritCard Walletには ISO/IEC 18013、 W3C Verifiable Credentialなどの採用が考えられているようで、VC(Verifiable Credentials)の利用が行われるのでしょう。
BritCard Walletが採用されれば、規制が強まっていく成人サービス業界でもBritCard Walletを利用した年齢認証も広がっていくのではないかと思われます。既存のOne LoginやIDドキュメントのアップロードのような年齢確認の方法は、成人サービスのユーザー的には嫌なUXだと思われます。
プライバシーに配慮し、VCの選択的開示機能を利用した年齢認証はユーザー・成人サービス事業者両方にとって受け入れるメリットが大きそうに感じました。
英国の成人サービス事業者は2025年7月に年齢確認の対応が迫られているので、引き続き業界の動向に注目です。
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