mDLの最新動向リサーチ(グローバル動向)

本記事では、mDL(Mobile Driver's License = モバイル運転免許証)の最新動向をご紹介します。
※2024年10月のデータとなります。

mDLの概要

mDLは読んで字のごとく、これまでカード型で発行されていた運転免許証を、スマートフォンで管理できるようにしたものです。
(mDLについて解説した記事はこちら)

米国やオーストラリア、韓国で先行して普及が進んでいます。

各国での普及状況

mDLの普及状況は、国ごとに大きく異なります。

アメリカ

アメリカでは各州がそれぞれ整備を進めています。
人口の75%が、「既にmDLがアクティブになっている」or「社会実装に向けた具体的な取り組みが進行中」の州に住んでいるとされています。(参考

アメリカでは今後2026年末までに、積極的な予測では1億2000万人が、保守的な予測では8000万人がmDLを保有すると予測されています。(Trinsic社レポートより)

オーストラリア

オーストラリアでは、人口が多い州で先行して導入が進んだこともあり550万人がmDLを保有しているとされています。(参考
オーストラリアの人口が2664万人であることをふまえると、既に30%近くの人がmDLを保有していることになります。

韓国

韓国では、サムスンが製造するスマートフォンが提供する「サムスンウォレット」でのmDL管理が可能となっています。(参考
既に220万人がmDLを所有されているようです。

mDLの規格について

mDLの標準規格はISOが整備を進めており、ISO/IEC 18013-7が最新規格となっております。

https://www.iso.org/standard/69084.html より

しかし、電子化された運転免許証のすべてがISOが定める規格に準拠しているわけではありません。
ナイジェリアやブラジルでは、ISOのものとは別規格でモバイル運転免許証が発行されています。

mDLを格納するウォレットについて

mDLを管理するためのデジタルウォレットに関しても、決まったものがあるわけではないため国や州によって取り扱い可否は異なっています。

例えば、以下図はアメリカの各州におけるmDL取り扱いウォレットを表しています。
カルフォルニア州やバージニア州のように州が独自ウォレットを提供するケースもあれば、アリゾナ州やジョージア州のようにデバイスウォレット(Apple WalletやGoogle Wallet)での管理を可能にしているケースもあります。

日本での普及予測について

海外での普及が進む中で、日本でもmDLの取り扱いは始ると予想しています。
実際にデジタル庁はmDLについて「極力早期の実現を目指す」とも言っているようです。(参考

マイナンバーカードと運転免許証の一体化、マイナンバーカード機能のスマホ格納に関しては実施スケジュールも開示されていますので、2026年末までには遅くとも始まっていくのではないかと予測しています。

おまけ

mDLをスマートフォンのウォレットアプリに格納する際の手順が公開されています。
受け取り前に本人確認を行い、それが承認されるとウォレットにmDLが格納される流れのようです。

■Apple Walletへの格納(ハワイ州)

Highways | ID in Apple Wallet

Your Hawaiʻi driver’s license or state ID. Now in Apple Wallet. Now you can add your Hawaiʻi driver’s license or state ID to Apple Wallet on iPhone…

■Google Walletへの格納(カルフォルニア州)

https://www.dmv.ca.gov/portal/california-mdl/google-wallet/

まとめ

本記事では、海外での社会実装が進むmDLについてまとめました。
当社製品proovyも2025年の春頃にmDLやmdoc対応を完了させる見込みです。

また本記事の内容は10月に開催した当社ウェビナーの内容や資料を基に執筆しております。
当社は毎月、DID/VCやデジタルアイデンティティにまつわるホットなトピックを解説するウェビナーを開催しておりますので、ぜひ参加してみてください!