Cheqdを中心としたSovereign AI Alliance

ニュース原文:

New AI alliance aims to end Big Tech dominance with user-owned data

Cheqd, DataHive, and others launch the Sovereign AI Alliance to create decentralized AI systems built on user-owned data, offering privacy, consent control, an…

Cheqdとは

本メディアでも何度か取り上げている、DID/VCに特化したインフラを提供する企業です。

最近ではVerifiable AIなどという言葉も生み出し、AI×VCという領域での発信を続けています。

そんなCheqdが複数者を巻き込んでのアライアンスを行いました。

このプロジェクトの中核となるのは、提案されているインテンション・ネットワーク・プロトコル(Intention Network Protocol)であり、個人データに対するユーザーのコントロールを損なうことなく、AIエージェントが安全に共同作業を行えるようにすることを目的としている。

同アライアンスはまた、分散型データストレージ、オープンソースのAIモデル、AIエージェントが自律的に取引や共同作業を行うためのツールなど、より広範なロードマップについても概説した。

ということで、ユーザーがデータの主権を握ったままAIの利便性を享受するためのプロトコル・ツールを開発しているとのことです。

個人データと引き換えに無料のAIを享受する社会

Cheqd CEOは記事内のインタビューで、

これまで我々は自身のデータを提供することによって無償のサービスを受けてきた。しかし、それは個人のメリットよりもバイラル性やリテンションの向上を優先している

と言います。

恐らくCheqdはプライバシーといった観点から現代社会のサービスのあり方に課題(あるいはポジショントーク)を感じていて、SSIを提唱しているのだと思います。

一方で、過去のSSI支持派のアプローチにも問題があったと言及しています。

過去の「データの対価を得る」モデルがしばしば失敗したのは、データを継続的な、意図主導のエコシステムの一部ではなく、単発の商品のように扱ったからであることは事実だ。

ソブリンAIアライアンスは、データを再利用可能で価値の高い資産として、分散型の意図ベースのAIフレームワークの中で捉え直す

ということで、〇〇 to Earn的なものは一過性の話題は生むことに成功したが、本来の自己主権型アイデンディディやプライバシーの保護といった目的は果たされなかったということでしょう。

これは確かに。

短期的な報酬を約束するのではなく、ユーザーの認証、趣向、同意情報を再利用可能なデータとして共有し、パーソナライズされたAIサービスを受けたり、データの収益化を行い、全く新しい体験を得ることができると言います。

プライバシーとDID/VCとビジネス

この記事を読んでVerifiable CredentialsとAIの融合に確かな可能性を感じた人はどのくらいいるのでしょうか。

選択的に開示されたデータから学習したAIは本当にパーソナライズされているか、というとそうではないかもしれません。もしくはこの考えは浅くて、もっと自然な形で自己主権は保たれているがユーザーの意識しないデータは主億できるのかもしれませんが。

いずれにせよ、今回の記事ではユーザーの新規的な体験については直接的な回答は得られず、割と「プライバシーの保護」というポジショントークに寄っていた印象です。

誰が聞いてもそうあるべきで、素晴らしい考えですが、実現のための施策としてプライバシーの一本槍で語るのにも限界を感じました。

AIの領域において、DID/VCのインフラを提供する企業が参入していくのは非常にワクワクしますし、ビジネス化の動向は引き続き追っていきたいです。

その方向性としてプライバシーの保護一本で語るのも中々茨の道だなとも思います。

ぜひ皆さんのご意見も聞かせてください。


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