Apple vs GoogleのVC(Verifiable Credentials)対応状況について
ニュース原文:
直近デジタルアイデンティティウォレットの動向に注目が集まる2社
直近でもiosがDigital Credentials APIのサポートや、マイナンバーカードのAppleウォレット格納など、大きなニュースが発表されています。
その競合企業としてGoogleにも当然注目が集まっています。
各社の対応状況の違い
ニュース原文では、「Digital Credentials & Payments: Apple vs. Google Wallet Strategy」というタイトルの通り、
AppleとGoogleがIDウォレットと決済のウォレットという2つの役割にたいしてそれぞれどのような戦略をとっているのかに着目しています。
本記事では、各社のVC(Verifiable Credentials)の対応状況について掻い摘んで紹介したいと思います。
mDL | VCの提出 | 3rd Partyウォレットとの併存 | |
Apple | ISO/IEC 18013-5に対応。日本でもマイナンバーカードの情報をウォレットに連携することを発表。 | safari26にてmdocに特化したW3C Digital Credentials APIを実装予定。 | 基本的にAppleWalletのみ。登録されたIDプライバイダーアプリとの併用が可能。 |
ISO/IEC 18013-5に対応。 | Chromeにて実装済み。OID4VPに基づいた実装になっており、VCの種別の柔軟性が高い。 | 複数のウォレットを利用可能。用途別に異なるウォレットアプリが利用できる。 |
Appleの対応状況について
Appleは皆さんご存じの通り、mdoc形式のVCをApple Walletで利用が可能となっています。
これはiphoneにマイナンバーカードを保存することができるということで世間を騒がせましたね。
また、直近のニュースによると、iphoneに標準搭載されているブラウザソフトのSafariもVCの提出を受け付けるプロトコルへの対応が発表されています。
これによってSaferiからVCの証明書を受け付け→AppleWalletからVCの提出が可能となります。なお、取り扱いが可能なVCはmdoc形式のVCに限定されているようです。
Apple製品によってmdoc形式のVCの保存から提出までサポートされる一方で、EUDIWの動向も気になります。
EUでは各国が認定を受けたウォレットをリリースすることが義務化されており、当然iphoneのユーザーもいるわけです。
上述したように、Apple製品のみでVCのエコシステムを実現することは欧州の方針とは異なるため、Appleがサードパーティー製のウォレットに対してどのようなスタンスを見せるのかは気になる所です。
ニュースの元ネタではAppleが認めたIDプロバイダーに限ってはiphoneでの取り扱いが可能と整理されています。
一方、決済用のウォレットに関してはApple Walletのみの利用が可能だそうです。
EUDIW準拠の要請を考えて、本人確認などデジタルアイデンティティウォレットのユースケースに関しては外部的に開放するが(おまけに認定制度)、決済に関しては引き続きAppleの経済圏でやってもらうよということなのでしょう。
Appleのサードパーティ製品へのスタンスが、対応しているVCの種類がmdocのみになっていることに起因しているのかもしれませんね。
Googleの対応状況について
GoogleがAppleと大きく異なるのは、サードパーティウォレットを許容している点と、VCの提出においてmdoc以外の形式もサポートできるようになっている点にあります。
こちらの記事にあるように、数か月前からウォレットからChromeのブラウザに対してVCを提出する機能が開発されています。
mdocに限定したガイドにはなっていますが、中身の作りとしてはmdocに限定されているわけではなく、様々なVCの形式に対応しているとのこと。
決済やデジタルIDウォレットに関してもサードパーティー製品の参入を認めており、Appleとは反対のスタンスを取っていることがわかります。
まとめ
世界的なプラットフォーマー(特にスマホ市場を握っている)の動向はVC、デジタルアイデンティティウォレットの普及に関する重要なピースとなります。
彼らの動き次第では他社が参入できないような技術になっていく可能性すらあります。
その中で、現状だとAppleがかなり自社製品の利用に寄せていっているというのがわかりました。
今後EUDIWの進行状況や開発のアップデート次第で続々とニュースが出てきそうですので要チェックです。
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